周防監督の話題の映画『それでもボクはやってない』(出演:加瀬亮、役所広司、瀬戸朝香、もたいまさこ、山本耕史ほか)を連休中に観てきました。いやはや、凄い映画でしたね。
「もし自分が捕まったら」という被害者と同じ視線で映画を追っていましたが、上映時間2時間半は何のその、ずっと引き込まれっぱなしで、あっという間でした。
警察の罵声にも似た取調べや、留置所でのシーン、裁判所の仕組み・細かいルールなど、なかなか見ることの出来ないシーン満載であらためて考えさせられます。
・絶対に痴漢などしていないのに信じてもらえない気持ち。
・痴漢されたという女子中学生の恐怖の気持ち、思い切って勇気を出して、痴漢をした(と思い込んだ)犯人を捕まえた気持ち。
・痴漢は許せない。犯人を落としてやる刑事・検察側の気持ち。
・痴漢をしていないという彼を信じ、必死に親身になって弁護する気持ち。
それぞれの立場に立って考えれば、それぞれの気持ちには間違いがないし、それぞれが自分の感情に正直だし、職務を全うしようとしているので、この際、刑事・検察側の酷い態度は仕方がないものとして、そこはスルーして考えます。
しかし、裁判官というポジション。
そこだけは映画を見て分からなくなりました。
有罪率99.9%というナゾ。
警察・検察が犯人として起訴した人物に無罪を出す、それが彼らのメンツを潰し、さらには国家権力に逆らうことになる。無罪を出すのは勇気のいることで、無罪を出すと出世できない。
・・・まったくもって、おかしな話です。
よくある刑事ドラマの終盤なんかで、自ら罪を認めて捕まりそれから裁判で刑が確定する、というのは良く分かります。でも、自ら罪を認めない人たちもいるわけで、(無論、それが真実か、真実でないかは本人のみぞ知る)それでも、100人中2・3人しか無実にならない、というのは、「疑わしきは罰せず」ではなくて「疑わしきはとりあえず罰する」感を強く感じます。それも弁護士が仕事をしているのにもかかわらず。
つい先日、富山で婦女暴行容疑で誤認逮捕され2年間服役した男性のニュースもありました。その2年間の間に、唯一の家族のお父様がお亡くなりになった話もありました。悲しすぎます。当時の富山県警・裁判など冤罪関係者は処分されるべきです。
裁判所の判決といっても、結局は「人」の判決なんです。検察側と弁護側の主張を聞いて公平に判断する、といいますが、有罪率99.9%と呼ばれる時点で、既に公平性は失われています。だからこそ、裁判員制度なのかも知れません。
さて、加瀬くん。
今回は主演だから彼の演技をたっぷり観れました。満足です。『誰も知らない』『ハチクロ』『硫黄島』でも、そして今回も良かった。ある種の「現代の悩める若者」みたいな役は、かなりハマります。いいねぇ。頭がキレル犯罪者役なんかも見てみたいねぇ。
脇を固めた出演陣も、堂々たる物でかなり良かった。山本耕史くんのフリーター姿、普通にイケますね。山本耕史くん演じる人間が、感情を思いっきりぶつけてくれたことに救われました。そして、役所広司さんは本当に良かったな~。温かみがあって一緒に全力で戦ってくれる理想の弁護士像でした。こういう弁護士さんがどんどん増えてくれると良い!
この映画を知名度・注目度バツグンの周防監督がフジテレビをはじめ、色々な有名どころを巻き込んで丁寧に、そしてリアルに作りあげてくれたことに感謝。ポスターの右上には、「これが、裁判。」とさりげなく書かれています。文字の大きさとは反比例し、日本社会に問いかける大きなメッセージだと感じました。
裁判員制度のスタートが控えていますが、私たちは、被告人の人生を左右する決断する権利をまもなく持つことになるということ。決していい加減な気持ちでは判断してはならない、ということ。そして、日本人の社会的義務として、学ばねばならない、ということ。
真剣に考えさせられた一本でした。
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